「欧米人ってやっぱりみんなまつ毛長いの?」

今まで大人しくソファに沈ませていた体を起こすと、
は好奇心100%の瞳で僕を見つめた。













「何だい?その唐突な質問は」
わっという効果音が入りそうな勢いで僕の視界を遮るジェームズ。
「何か…何となく。あ、ジェームズのまつ毛も…うん、長いね」
「もちろん!僕のまつ毛は長すぎてバッサバサ音がするくらいだよねぇリリー!」
「気持ち悪い上にその何でも『僕が1番』的思考は毎回どうかと思うわ」


はリリーの毒舌に翻弄されるジェームズには目もくれずに、
シリウスの座るソファへとことこと歩いていく。


「ねぇシリウス」
「…んー?」
の声に、シリウスは座ったまま抱き抱えていたクッションから、
睡魔に襲われるままに埋めていた顔を上げる。
「ちょっとまつ毛見せて」
「は?―――ちょ、!近!」


じたばたと焦るシリウスの両肩をしっかり抑えつけてが顔を近付ける。
するとシリウスは一瞬の内に顔を赤に染め上げた(へたれの極みだよねほんと)。
あんたまつ毛すんごい長いね!とがシリウスの手を振ってぶんぶん振ると、
あのへたれ犬はへらりと笑った(…何か面白くない)。



暖炉前のソファでぐっすり寝入っているピーターを覗き込み、
何やらぶつぶつと呟くとは僕の向かいの一人掛けに座り直した。


「どうしたの?」
「…あのね、欧米人がみんなまつ毛長いのはわかったんだけど」
真面目そうにがうーん、と唸る。
「髪の色とまつ毛の色は一緒じゃないのかなって」
「髪の色と?」
「そう。ピーターのまつ毛のいろ、暗かったからさ」



シリウスのまつ毛が黒なのはわかる。
でも髪の色が明るいピーターとかって、まつ毛の色素も薄いんじゃないの?
それがの言い分。
それもそうだ、といつの間にやら立ち直っていたジェームズが頷く。


「目の方が奥まったところにあるから、光の加減で髪よりも暗く見えるんじゃないかな」
リリーも僕の意見にそうねと同意する。
シリウスは先程の出来事のせいですっかり目が覚めてしまったようで、
大人しくこっちを見てる。


「僕のもたぶん明るいところでは髪と同じ色だよ」
僕がそう言うとは「ほんと!?」と目を輝かせて、ソファから腰を浮かせた。
そして僕らの間にある低いテーブルに両手をついて、僕のまつ毛をよく見ようとする。


「うわぁ、ほんとに髪と同じ、綺麗な鳶い―――――っ!」


が緩く締めているネクタイをぐいと引っ張る。
体制を崩したところへ、その唇に自分のそれを押し当てた。
ゆっくり顔を離してを見上げると、そのままびしりと固まっている。
思わずふと笑いが漏れた。


しかしその向こうに、
中身が零れ落ちそうなくらい目を見開いているシリウスを見つけた。


「リーマスーッッッ!!!!!!!」


唾を飛ばしながらぎゃあぎゃあ喚き散らしてくるシリウスを軽くあしらいながら、
やっと正気に戻ってじたばたと照れまくるを眺める。



さて、次はどんな手で誘おうか。





End




[あとがき]

引き続き狼です。
何なんだろあたしの中でブームがやって来たんだろうか。
彼の髪が夕陽に染まったところを見てみたいです。絶対綺麗。

[0112]