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ねぇ 言葉が消えたよ ねぇ 瞼を閉じたよ ねぇ 涙なんか、枯れたよ (あなたの傷はいつまで経っても癒えやしない) 「ね、」 「んー」 「ね、ってば」 「なーにー」 「さむい」 「ねー」 「(ねー、って・・・)」 「それでー?」 「紅茶淹れて」 「うーん」 「リーマス」 「はいはい」 リーマスはわたしの肩に預けていた頭を起こすと、乾いた唇で音も立てずにわたしの頬にキスをした。さらりと彼の髪が額に掛かって、少しくすぐったい。 「またそうやって不意打ちする」 わたしはちょっとむくれて言うけれど、リーマスは気にしていないふうにまたソファに身を沈めた。紅茶を淹れてと言ったのに。わたしは半眼で隣を見る。 するとその視線に気づいた彼は、「もうちょっとしたら淹れてあげるよ」と微笑う。 「いますごく眠いんだ」 「昨日も遅くまでレポートやってたんだって?」 「そう・・・・・・、」 そう、だからすごく眠い。それはわかるけれど、わざわざわたしの肩に頭を預けて眠りに落ちようとする理由がわからない。すやすや。静かな寝息が聞こえ出して、わたしはそっとリーマスの肩を押す。 「紅茶が飲みたいのは、今なのですよ」。 ぱちぱちぱち。火の爆ぜる音。手にはティーカップ、膝にはブランケット、談話室にはわたしとリーマス。 頭をだらんと下げたまま眠りこける彼を、一人掛けのソファに体育座りをして眺める。しっかり眠っちゃって。夢の中でも魔法薬学のレポートに悩まされるがいいさ。 ・・・・・・でもきっと、こんな穏やかな彼が眠りながらも眉を寄せているのは、そんな理由からでは、なくて。 「うー・・・」 「あれ、起きたの」 「」 「はい」 「?」 リーマスはさっきとは打って変わってぱっちりと目を開けると、隣にいないわたしの名前を呼んだ。返事してるのに。彼は珍しく焦ったふうにもう一度わたしを呼んだ。 「リーマス」 少し声を大きくして声を掛けると、リーマスはふとわたしの方を見る。 「ここにいるよ、わたし」 二、三度瞬きをすると、リーマスは浅く目を伏せた。 わたしはティーカップをローテーブルの上のソーサーに置くと、もといた場所に腰を下ろした。瞬間、予想通り彼がわたしを抱きしめる。抱きしめている、はずなのに。すがりついているように感じるのは、なぜ。 「」 「うん」 「好き」 「うん」 「好きだよ」 静かな息遣いが、耳元から遠ざかる。リーマスの体が離れてわたしはゆるやかに息を吐いた。 震えている彼の指先はいつだって、今みたいに冷たい。揺れている瞳はいつだって、わたしの瞳をじっと見る。どうしてあなたはいつも、そんなふうにわたしを泣きたくさせるの。 甘い香りがして、整った顔立ちがまた近付いた。震える睫毛は、嫉妬しそうなくらい長い。 今日何度目かの触れるだけの口付けをして、リーマスは壊れてしまいそうなアンティークに触れるみたいに、わたしの頬にそっと触れた。 ハイドワンズティアーズ |