ドリーム小説 吸い込まれそうな漆黒がまるで夜のようだったから。
きっとそれは言い訳だ。

その瞳が映す光が、まるで滲んだ月のようだったから。
それもきっと、ただの自分の脆さだ。

本当は、目を合わせてしまえばもう戻れないとわかっていた。




03:昼夜の調べ




「気付かれてたなんて」
リーマスはそう呟くと、力無くうな垂れた。その背中を、隣に座ったジェームズがぽんぽんと叩く。
夜がすっかり更けた談話室には、悪戯仕掛け人4人とリリーがいるだけだった。

、前にも一度言ってたわ。『リーマスと話していると、寂しくなる』、って」
リリーが独り言のように呟く。
ピーターは少し悲しそうに視線を落として、シリウスは一人がけのソファに座ったまま憮然として黙っていた。

「リーマス」とまたリリーが静かに口を開く。「のこと、あまり好きじゃないの?」
ぱっと顔を上げると、リーマスはリリーを真っ直ぐ見つめて真顔で首を振った。
「むしろその逆だよね」とジェームズが耳打ちする。
リーマスがにっこりと笑顔を向けると、ジェームズのにやにや笑いが瞬時に引っ込んだ。

「でもあいつ、すげー気にしてたぞ」

全員が声のした方に目を向ける。シリウスは暖炉の中で爆ぜる火を見つめたまま言葉を続けた。
「見ただろ?ここに戻って来るなり『わ、わたしもう寝るね』とか何とか言って慌てて行っちまったじゃねぇか」
リリーがリーマスの方を盗み見ると、彼は自分の膝に肘をついて指を組み、何かを考えているようだった。
それを見てリリーは溜め息を吐くと、「の様子を見がてらわたしも寝るわ」と立ち上がった。


「なぁ、もういいんじゃねぇのか?」
しんとなった談話室に、シリウスの低く抑えた声が響く。誰も何も言わない。
「まだ、だめなのか」
「シリウス、そのことはまたにしよう」
「待てよジェームズ。まだ黙ってるせいで、との関係も変になってんだぜ?」
その言葉に、ジェームズはふと口をつぐむ。。
「ね、ねぇシリウス、リーマスは・・・」
「口を出すな、ピーター」
シリウスが一瞥すると、ピーターははっとしたように口をつぐんだ。

「ごめん、シリウス」

掠れた声が発せられる。
全員が振り向くと、リーマスがシリウスに苦笑を向けた。


「・・・まだ怖いんだ。ごめん」





朝焼けは炎のような朱色で空に横たわっていた。
シリウスはふー、と溜め息を空気に溶かして、湖のほとりに立つの背中を見やった。



はすぐにその声に気付いて振り返ると、小さくシリウスに手を振った。

「何黄昏てんだよ」
「いいでしょ、早く起きちゃったんだから」
さくさくと芝生を踏みしめながら近付き、シリウスはの横に立った。
しばらくの沈黙が降り、ふたりの吐く白い息がゆらりと冬の空に昇っていく。

「わたし、リーマスを傷つけたかも知れない」

いつもの彼女からは考えられないほど弱々しい声が聞こえて、
シリウスは思わずの方をはっと見た。

「酷いことを、言ったのかも知れない」

そう言うとは唇を噛み締めて湖の更に遠くを見つめ、
そしてはぁと息を吐くと、「ううん、言ったんだ、わたし」と呟いた。

シリウスが肩を抱いてやると、の手が背中にまわって来てローブをぎゅっと握る。
その仕草が何だか痛々しくて、シリウスはそっと目を伏せた。

「謝らなくちゃ」

―――ごめんねって、言わなくちゃ。
真っ白に染まった世界に、小さな小さな声が響いた。







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03:あとがき

ええとですね。短いんですけれども、ええと。
短いなりの伝わり方があると思ったのです!うわあぁぁ!(逃

[080116]